平成最後の一級品邦画ホラー……来ます!「来る」感想

どうもよるとりです。今月はマジ映画ラッシュですね。金がねぇ。
映画「来る」予告と監督でいやこれ絶対おもしろいでしょって思ってたのに見に行くの時間かかってしまいました。

 

中島哲也監督と言えばちょっと映画に詳しい人なら「告白」は見るか評判を小耳に挟んだことがあると思います。私もめちゃめちゃハマり次回作「渇き」も楽しく拝見しました。
とはいえなんだかんだで、映画館で中島監督の映画を見るのは初めてだったので上映しているうちに見れて本当に良かったです。

要約としては程よいエンタメホラー映画として水準が高い映画だったんじゃないかと思います。最近だと「残穢-住んではいけない部屋-」「貞子VS伽椰子」なんかが邦画ホラーでも評判でしたが、そこに並び立つ一本になったんじゃないかと思います。
ちなみに原作は読んで無いですが結構違うみたいなので手が空いたら読みたいですね。

 

ネタバレ丸出しなのでまだ見てない人は邦キチでも見て劇場行ってください。

 

comip.jp

邦キチ! 映子さん Season2/第7話

 

第一幕

 

「告白」「渇き」でもそうでしたが、中島監督は人間関係の嫌なところを描くのが上手いですよね。それでいて笑わせてくれるといいますか、実家に連れてきた彼女にチュー!から木村カエラのbutterflyを流してそのまま結婚式シーンに行く「安っぽさ」。いかにも中島監督らしいというか、好きですね本当こういうの……。
あまり詳しくないですが中島監督は結構劇伴に既存曲を使うのでその表現が今回も映えてましたね。

 

でも正直まさか妻夫木聡が死ぬとは思ってなかったので、あの身体がちぎれ飛んだ妻夫木聡見てちょっとハッとしてしまいました。
すげークソ既男なのは事実なんですが、最後に彼が「娘のために命を張る」選択をしたのも事実なので、そこまで嫌いではなかったです。まあ生き残って心入れ替えて……なんて簡単な話になるわけでも無いとは思いますが、人間そんなもんだからね……。

 

第二幕


黒木華の不幸はポルノ。
黒木華、取り立てて美人というわけではないのですがこの「どこでもいそうな顔」(褒めてますよ)から繰り出される抜群の演技力。くたびれた寡婦。いいですね……最高です……。
原作ではそこそこ違うみたいですが、黒木華を起用した上で盛り塩割ってニッコリ、化粧してないくたびれた母から女の子はいつも可愛くしなきゃね!と化粧もりもりベッドシーンは「女、こえ~」みたいな感じでこれもまた良い改変だったんじゃなかろうか。原作まだ読んで無いけど。

 

そんな彼女が「欲しいなら上げるよ」と漏れてしまうほど追い詰められる気持ちも物凄くわかるといいますか「旦那が死んで働きに出たはいいが子供はまだ小さく病気がちでよく呼ばれて、母親は頼れず自分は資格も無いからスーパーのレジ打ちもいいとこで旦那の実家も頼れない」なんて鬼女板とかで転がってるありふれた「怖い話」ですよ。

これまた旦那の秀樹のように、最後は娘を守るという気持ちで必死に抵抗していたのも事実なので、やっぱり嫌いにはなれないのであった。

 

第三幕


余談ですが特に情報を仕入れてなかったから、野崎が岡田准一って気づいたの映画見終わって感想探ししてからでした。友達に言ったら「は?何見てたんだおめえは」とか言われたけど。
黒木華妻夫木聡は素材そのままの味!な使い方でしたが、三幕で存在をます野崎と真琴、岡田准一小松菜奈はすごいメイクで役にキャラ立ちしてましたね。
小松菜奈は特に、中島監督が女優として大抜擢してから今売れっ子の経緯があるものの、正直言ってどれも同じような使い方が多く……なところでこのピンク短髪パンクな子供好きキャバ嬢。キャラが強いのにそれに負けない演技力と存在感、新たな小松菜奈の魅力を再発見できました。いい……。

そして比嘉琴子。これも抑揚のない喋り方とロン毛のヅラに傷の特殊メイク、全然松たか子に見えないですねこれ。それにしてもこの姉妹のキャラの強さよ。原作はシリーズ化してるみたいだから読みたいなぁ。


見る前からもうTLで評判だったお祓いカーニバル、なかなか凄いですね。その前座の、霊能力者たちが集まる描写がなかなかツボですね。ババアたちが死んだあとそれを察したジジイたちが「車両別れておけば最悪一人は生き残るでしょう」ってなんやねん、マンガかよ。
この辺に関しては語るよりも見てもらうほうが…な一連のシーンですが、流れるようにあの最後でぶつっと切れるのはいかにもこの監督だな!って思いました。

 


改めて総評ですが、いわゆるホラーで二分される「人間(現実)怖い」と「怪物(空想、フィクション)怖い」がいい感じに融合したホラーだと思いました。正直見慣れている人間からするとビクッとするところはせいぜい秀樹が怪異と対決するところくらいですが、割と得意じゃない人はなかなか怖い思いしたみたいで。
ホラーに限らず最近のエンタメは「ジャンル分けの弊害」が結構強くて、そのジャンルなら別にいいかな……と篩い分けてしまうところがあり、ホラーなんかは結局手法は限られているので慣れが恐怖を鈍らせるから、もう怖がる人を見て自分も怖いのを楽しむというのがメインになるところあるんですよね。自分はもうあんまり怖くないから……。

少なくとも私の観測範囲では割とホラー好き以外も客入ってる感じしたので、ホラー映画としてその層を呼び入れることが出来たなら大成功なんじゃないですかね。

 

中島監督は初ホラー作品ですが、やはり普段違う映画を撮っている人のホラー映画は面白いですね。もう三池崇史のホラー映画見飽きたじゃん(酷い)(でも見ますよ尊敬しています)
怖いっていう感情は普遍的ですが、人によって様々ですよね。夜中シャンプーするの怖い、財布にお金が入って無くて怖い、どれも怖いのはわかりますから。なのでこう、いろんな監督にホラー撮って欲しいなぁとか考えてました。また中島監督のホラーが見たい!という感じでは無いですが、次回作は楽しみにしています。また胸糞悪い人間模様が見てぇなぁ!

 

とりあえず下妻物語とか見ないとな。プライムにあるし。

Fate/stay night [Heaven's Feel] 第二章 lost butterfly感想 ~足し算引き算で残ったもの~

もう第一章公開から季節が一巡したのだなと年の瀬を過ごしながら、平成最後の年。まずはFate/stay night [Heaven's Feel] 第二章 lost butterfly公開、おめでとうございます。


この大不況かつアニメ会社が資金がショートして潰れていく中、更には下を見れば放送延期に現場の吐血が見える映像のアニメすら世に出る中で無事に二章にこぎつけ、その瞬間に自分がファンとして居合わせることが出来たのは奇跡だと思います。

第一章、初めて映像化される桜ルートを映像として大胆に新規シーンを盛り合わせながら再構成し順調に滑り出した今作。第二章、ありがたいことに一般公開よりも先に新宿バルト9で行われたイベントで拝見することが出来ました。ありがとうボブ。今度エドモン・ダンテス一緒に吸おうな。

初めて見た感想は、圧倒的な映像美と迫力で「ああ、あんなに凄かったFate/zeroももう7,8年前なんだ。今は違うんだ。」ということでした。
放送当時まだ高校生の私がまだ学生をやっているバグはさておき、Fate/zeroやTV版UBWを見て「自分もこんなアニメを作りたい!」と思った若い人がこのアニメを作っているんだなと思うと胸が熱くなりますね。

 


アニメーションを制作したufotableTYPE-MOONファンにとってはずいぶん長い付き合いの会社で、それがこの映画では遺憾なく発揮されていると思います。また監督、キャラクターデザイン、総作監の須藤友徳氏はスタッフとして関わる以前からのTYPE-MOONファンで、特に桜が好きともっぱらの評判で制作発表時「須藤さんが監督なら安心だ」と話題になったものです。その期待を大きく上回り第一章は自他ともに認めるFate好きのめんどくさいオタクたちを黙らせ素晴らしい出来でした。

特に「鍵」を効果的に使った演出は、この会社、この監督だからこその演出だと思いました。ディープなオタクは存じてると思いますが、衛宮士郎というキャラクターの原型は「空の境界 第五章矛盾螺旋」に登場する臙条巴から流れを汲んでおり、作中「鍵」が重要な項目として彼の物語が描かれます。
須藤友徳氏は空の境界アニメプロジェクトでは通してキャラクターデザインを勤められており、またこれらの通な設定に通じたオタクならではのオタクが喜ぶ使い方でした。私もオタクなので好きです、はい。
中学生の桜が「鍵」を受け取った直後、目に光彩が戻り初めて笑顔を見せてくれる。「鍵」は二人の帰るところでもあり、文字通り桜の心をこじ開ける「鍵」という重要な役目を担っています。


お恥ずかしながら時間がなく原作と第一章のお浚いをしてから臨もうと思っていたのに、年末年始ぶっ通しで忙しかったせいでそれが叶わずに一回目を視聴しました。一章に比べてするりと入ってしまって「あれ?HFこんな感じだったっけなぁ」という疑問が浮かび、急いで一章を見直してPC版ヘブンズフィールをプレイして二度目に臨みました。

 

その上で二章を見た上で感想を総括すると「第二章、桜のPVとしてはとても良いが、ヘブンズフィールの映像化としては欠け落ちたものが多すぎて三章に不安が残るが、それでも良い映画だった」です。
まず大前提として私は完璧なメディアミックスなんて存在しないと思っています。媒体と客を変えた時点でものは変質するからです。どれだけ二章が頑張ってもそれは逃れられなかったのだな、と感じました。そもそも原作で一番長いルートを6時間で収めようというのが難しかったんだろうと。

 

桜は前2ルートのヒロインと違って、重い過去に苛まれ苦しみながらも士郎を慕う普通の少女です。原作者の発言を借りるならば「型月界では、愛をとるキャラはみなヤンデレります。凛とか、愛より正しさをとるでしょ。セイバーも。桜はほら、愛をとるでしょ。きのこはほら、ゲームをとるでしょ。」凛とセイバーは正しさを取る強い子ですが(ヤンデレかはさておき)桜は、愛を取ります。また、具体的な原因はともあれ桜はこの3人のヒロインの中で当時一番人気が低いキャラクターでした。
(はっきり言って時代が変わったので、むしろ今の時代は桜の内向さがこそウケるのでは無いかと思うんですけどね)

 

原作から大きく取り除かれた要素は言峰綺礼のバックボーンについて」「凛とイリヤの共同生活」「桜の内面描写」の3つ。
言峰綺礼のバックボーンについて」は後半言峰が活躍するシーンで補足してスマートに済ませるのかな、という感じもするので置いておきます。そのせいで言峰、桜の治療に魔術刻印使うめっちゃ気のいいおじさんになってないか?まあそれはいいんだ。

「凛とイリヤの共同生活」「桜の内面描写」についてです。正直、これを削ったのは尺の都合上仕方ないのかもしれませんが三章でしわ寄せ来てしまわない?という不安があります。
原作を再プレイして再確認したのは桜の独白Interludeが非常に多く、その中で桜の内面描写が事細かに描かれています。この内面が「私は悪い人」と桜が自罰的になる所以でもあります。先輩が自分のものになって嬉しいが、自分のものになったからこそ(姉に)奪われるのが怖い。凛とイリヤとの共同生活で少しずつ追い詰められる様も含め、この内々に秘めた桜の感情が爆発して後の暴走状態に繋がります。
慎二を殺したとき「自分は殺すことを楽しんでいた、もともと狂っていたんだ」と積み上げたはてに内なる毒の存在に気づいて堕ちるわけです。

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(2004年,TYPE-MOON,『Fate/stay night』より)

 

ところがまあ、映画はどうだろうか。

ギルガメッシュに襲われるシーンでは桜は意識的に「ここで死んだら姉に士郎を取られてしまう」という自意識で立ち上がりますが、映画では夢遊してる無意識下で行われます。その他凛と接するうちに内に湧き上がりラストのバトルへと繋がるような凛への嫉妬が土蔵のシーンくらいしか描かれておらず、憧れといった正の感情のみが強く描写されていました。
(ところでこの土蔵で凛が高跳びの話をするのは一章で土蔵で同じ話をする桜と対構造になっています)

 

「自分はどうなってもいい、だが士郎だけは守りたい」という聖母像ばかりがクローズアップされて、映画の中ではしきりに自罰的になる桜の「悪いところ」が見えづらくなっているように自分は感じました。というかほぼ意図的に削ぎ落としていると思います。
例えば凛をかばう士郎で疎ましい顔をするだとか、藤村と話すときに士郎が自分のために戦って傷ついてしまうことを嬉しいと感じる自分が怖い…といったように挟み込み方はあったはずなのですよね。
監督が桜好きゆえにその悪性を削ぎ落としてこの映画を作ったのかもしれないし、もしかしたら絵コンテ段階ではあったけど尺の都合で消えた部分かもしれないですが足し算引き算して残ったものが今世に出ているものという事実は変わりません。

 

ゲームをアニメにするとき、必然的に引き算になるわけですが、たぶん桜が好きな監督だからこその引き算箇所で普通くらいの人なら迷いなく桜の負の感情は入れると思います。なぜならそれが最後の姉妹喧嘩に繋がるから。
もちろん全三章だから残りを見てみないことにはわかりませんが、雪降ってる中外で待つ桜といい正直そこまで考えてカットした部分じゃないだろうなぁ…とも、好きが高じたオタクが作るオタク作品ゆえの悩みですね。贅沢な悩みだねこれ。

 

でも正直三章の走り出しが町の人をミンチにするスプラッタシーンから始まったら今全部書いた項目どうでもよくなるんだと思うのでやっぱり三章出てみないとわからないというのは口酸っぱくいいます。
三章楽しみにしてます!!
あと結構強気に書いたけど間違ってるところあったら勉強中の身ゆえ許してほしい。おしまい。

零シリーズの最高傑作「濡鴉の巫女」を4年もプレイせずにいてごめんなさい。

 

・はじめに

 

最近ガンダム00のやつといい謝ってばかりでは…?どうも。よるとりです。みなさん、ホラーゲームはお好きですか。私は大好きです。


日本のホラーゲームといえばバイオハザードSIREN、零あたりでしょうか。そう、零。現コーエーテクモの出しているホラーアクションゲーム。約10年前に紅い蝶をプレイしてからファンで、その最新作「零~濡鴉の巫女~」をプレイし、ちょうどエンディングをすべて見終えました。

 

 

零 ~濡鴉ノ巫女~ - Wii U

零 ~濡鴉ノ巫女~ - Wii U

 

 


と言いつつこの濡鴉の巫女、4年前に出たゲームです。お前、なんで4年も放置してたんだよって言われるともう本当にそのとおり過ぎて頭が上がらないんですが、全てはWiiUとかいうSwitchとWiiのスキマハードで出たのがネックすぎてですね。記事中何度も言いますけど早くSwitchに移植してください。個人の感性によると思いますが、私はこれ、零シリーズの最高傑作だと思います。はい。
※あくまでストーリーを一通りクリアしたよ、段階なので色々取りこぼしがあったりコンプリートガイドを見てないのでトンチンカンなことを言っていたらごめんなさい。というかコンプリートガイド、高すぎや。

 

 

零~濡鴉ノ巫女~ コンプリートガイド

零~濡鴉ノ巫女~ コンプリートガイド

 

 

 

・シリーズの中でも深みを増したストーリー性


零シリーズのストーリー、基本的に

 

あの世を封じる人柱の風習がある郷土→なんらかの経緯により事件発生、儀式失敗→あの世が溢れかえって大災害→何年かあとに主人公が関わりゲームスタート


というお約束の流れがあるのですが、この人柱の風習の郷土性というのがいかんせんメインストーリーに合わせて作られた創作感が無いわけではなく…
と、いうのも人柱という要素以外はあまり現実の民俗学的な要素が少なかったように見受けられました。シロートの意見なので違うかもしれませんが。
(双子の片方を生贄に…というのとか、そもそもあんな狭い村でバカスカ双子が生まれる時点でツッコミどころといえばそうなんですけども)

結論からいうとスタッフロールのシナリオアドバイザーの項目に、大塚英志氏のお名前があったためプロの民俗学者を呼んだことによる恩恵なのかなとも思いました。
ムサカリ絵馬や遠野物語山岳信仰など、まあ自分もガチで詳しいレベルではないのですが実在の風習を元にして尚且つ零の世界観に落とし込みストーリーを展開しているので、個人的に今作の話は傑作だと思います。好みはあると思うけど。

 

月蝕の仮面」では、流歌、海咲、長四郎、約3人の主人公によって展開されますが同じ病院を徘徊しているのに次元が捻れているとかでゲーム中でこれらの3人が交わることは一切ないので、群像劇という感じが薄かったです。

しかし、今作「濡鴉の巫女」はきちん夕莉、深羽、蓮の3人の主人公が協力しあい交わりながらそれぞれの結末へと進んでいくので、これだよ~となりました。

 

・ストーリーと重厚にリンクするシステム

 

今作独自のシステムも、ストーリーをより深みへ誘う良いものが多かったです。

「影見」は人の寄香を辿るとのことだが、要するに「デッドスペース」のインジケーターである。ポチっと押すと次に行く場所を示してくれる。零シリーズはなかなか広大なフィールドを歩くことになり、中断した際にどこに行けばいいのかよく迷うのでこれはとても便利でした。

 「看取り」はED分岐にも関わる重要なシステムであり、更にいわゆるザコ敵幽霊たちの物語を垣間見えるのでちょっとしたやりがいがありました。

「濡れメーター/黄泉濡」は、私は全編イージーでやっていたので濡れメーターによる与ダメージ量増加の恩恵はよくわからなかったのだが、雨が降るフィールドに主人公を入れるとメーターの上昇と共に、徐々に主人公の服が濡れて透けていくのは「なぜこんなところに本気を出したんだ」と感動せざるを得ない部分です。拍手。

しかしながら、この濡れメーター、マックスの状態だと「3回に1回は必ずアイテム取得時のお邪魔幽霊が発生する」というデメリットがあり、特に4周しなければいけない最終章は基本的に雨が降っていて、どれだけアイテムを使ってメーターを空にしてもほぼ意味がない。どうやら「眞紅の蝶」かららしいが、幽霊の手に掴まれるとダメージを負うようになってしまったので特に注意して拾わないといけないのにこれはかなりのストレスだった。ダメージ量としては大したことがないのだが、テンポを損なうしせめてもう少し頻度を緩和して欲しかった。

 

・魅力的な主人公たちと、その結末

 

初代主人公の娘である深羽、シリーズおなじみの麻生博士の魂を持った蓮、こう並べると夕莉は過去作となんの関連性も無いのでキャラ弱くならないかな?大丈夫かな?という不安はありましたがプレイしてみると全く問題ありませんでした。何よりも、夕莉はこれまでの過去作主人公が成し得なかったことをしました。そういう点では物凄い子だと思います。

これまでの零は、決定的に生者と死者が分かたれていました。なにかのきっかけで怨霊のようなものになってしまったラスボスに対して、主人公という生者から死者へ救いを与えるのが型としてありました。霧絵、紗重、零華、朔夜。退治という形になった霊もいなくはありませんが、この世に留まっていた礼を正しくあるべき隠世へ送る、それが霊への救いでした。

夕莉の水中看取りエンドはどうでしょう。どうしようもなく生きていることに違和感があり、人の死を強く感じ取る彼女に対して「貴方を理解出来るのは、私だけ」と逢世は囁きます。

逢世を「看取り」そして去る彼女を見送るのが水上看取りエンドですが、彼女の誘いは救いである……として共に黄泉へ落ちる選択をするのが水中看取りエンド。つまるところ、零シリーズで初めて死者が生者へ救いを与えた衝撃的なエンディングです。

宮崎駿アニメで、ヒロインと主人公が必ず最後に別離を迎えていたのに「崖の上のポニョ」がそれを破り共になったのと同じように根底を覆す衝撃ストーリーです。そりゃあ他の主人公に埋もれない。すごい。

とはいえやはり水上看取りエンドもボロボロ泣きました。あれだけ無表情、無感情、虚無が歩いてるという位の夕莉がゲームの中で初めて涙を見せて逢世の悲しみと秘密を背負う……そして生きていく、という従来のシリーズの型に沿ったお話もよく出来ていました。

 

深羽の話についても、随分と死者と隠世に対して好意的な話でした。発売当時かなり波紋を呼びましたが、私はあのストーリーについて肯定しています。これまでの深紅の人生、明確にあの世が存在するあの世界観。唯一の兄を求めるのは自然なことだなあと自分は思いました。それが愛欲でなくとも。

ただ、やはり深羽には深紅しかいないし深紅には真冬しかいない……という結びがあるので深羽は結局孤独なままじゃん……と寂しい気持ちになるので、是非次回作では深羽には幸せになってほしいですね。

 

蓮の話は本人がどうというよりも麻生博士の話だったのでとんだ災難だなぁ…みたいな話ですが、君菊の匣の中エンドはボロッボロ泣きました。君菊ちゃんほんといい子…。

逢世さんのエンディングも、どちらもホロリと来ました。最終的な救いは夕莉が与えるものですが、やはり再会して直接言葉を伝えられたというのは大きいと思います。どちらを選んでもケチがつかないように出来てるのはいいですね。

 

・あやね編について

なんであやねが…って感じはしましたけどやってみたらステルス意外と楽しかった。あとやっぱり月蝕の霊石灯強すぎたんだな……って笑った。

プレイ済みの人と話した限りなんでこの人が…?ってなったんでしょうが、あやねとかすみの関係を触り程度に知ってると彼女が紡を気にかけた理由に繋がるので、無理のある話ではなかったし良いサブシナリオでした。

でも零の華奢な女の子たちに交じるとすごいムチムチだったね。

 

 

 

本当に面白かったからそのうちSwitch移植して欲しいぞ…。

じゃないとこんな素晴らしい名作が埋もれてしまう。頼むぞコーエーテクモ

第一回 私の愛する近親相姦//「Fateシリーズ」よりケイとアルトリア

  • 近親相姦とは
  • Garden of Avalonでのケイについて
  • その他の作品について 

 

PC前の皆様。もしくはスマホの前の皆様。こんなピーキーなタイトルの記事を開いてくださってありがとうございます。

「せっかく自分のブログがあるのだし、連載コラム的なものをやりたいなぁ」

と漠然と考えていたのだが、貧相なアイディアと教養の私が連載出来るもの、そこまでしたいもの…と考えると、一つ案が思い浮かんだ。それが近親相姦だ

 

近親相姦とは

近親相姦【きんしん‐そうかん】

親子・兄弟姉妹など血縁関係の近い男女の間で性的交渉が行われること。*1

 近親相姦。なんと甘美な響きでしょうか。そうでもない?まあ聞いてくれ。

人間というのは社会的動物であり、一般的に人間が始めて所属する社会は家族という枠です。父、母、兄、姉、妹、弟、叔父叔母(伯父伯母)…その家族に、家族愛以上の感情を抱いてしまったら…?とりわけフィクションにおいて、かなりポピュラーなテーマである。人間が紡いで来た最古の物語でもある神話においても近親相姦は各地で語り継がれている。聖書的に言うならばアダムとエヴァは兄と妹でもあるし、妻が塩の柱にされたロトは洞窟で娘に逆レイプされる。眠っている間に性交をされる。

かたや現実の近親相姦はどうだろう。エジプトの王、ファラオは近親姦が当たり前で、スペイン・ハプスブルク家は貴き青い血を守るために近親婚を繰り返していた。とかく、描かれ方や実情は国や時代で様々だ。

 

とりわけ現代日本のカルチャーにおいては近親相姦はタブーの文脈として親しまれている。嫌悪感を抱く人間も少なくないが、開けてはいけない箱が眼の前にある時、果たして衆目が無ければそれを開ける欲求に打ち勝てる者はそういない。

エヴァが食べてはいけないとされた林檎を食べてしまったように、タブーは犯すためにあります。ルールは破るためにあるんだぞ。という欲求を満たすのが、フィクションなわけだ。

 

前置きが長くなりました。

いわんやここまで書く私はフィクションの題材として近親相姦がメッチャ好きで、進んでそういう題材を探す。周囲にも似通った趣味の人間が多いので、よくよく話題に上げるのだがいかんせんTwitterはリアルタイム性はあるのですが話を留めておくのには不向きなので、こうしてブログ記事としてまとめておこうと思う。

というわけで、記念すべき一回にこの趣旨から微妙に外れてそうな義兄と義妹なんだが、やっぱり第一回は一番好きなモノでこう。おそらく今後は兄妹を中心にたまに姉弟、他の近親相姦も取り扱っていきたい。

 

*10/15

すごく反響があってマジレスが飛んできて申し訳ないんですが、要旨的には「私の推し近親カプ語り&紹介」になります。なので肉体関係の有無は問わないです。真面目に読みに来た人すまねぇ。

Twitterで趣味が合う人にいちいち同じことを何回も書いてしまうのは非効率だからもう記事にしてURLペッて貼っちゃえば良くない!?って感じなので、そも近親カプ好きじゃない人は読まなくていいと思います。

 

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平成最後の夏に見る、機動戦士ガンダム00の味。

こんにちは。よるとりです。

ところで皆さん、ガンダムは好きですか。私はぶっちゃけそうじゃなかったです。そう、今までは。

 

私が初めて見たガンダムは小学校くらいの時に見た地上波のガンダムSEEDだったのですが、さすがにチビのガキンチョには話なぞわかる訳もなく、内容は殆ど覚えて無いです。ただ鮮烈に覚えてるのはニコルが死んだ時姉が一晩中大泣きして心配して声をかけたら手当たり次第本を投げられてとばっちり食らったことです。

Twitterではチラホラ話題に出すことはあるんですが、私は生まれてこの方全くBLにピンと来ずむしろ小~中学生時代はむしろ見たら吐き気とか嫌悪を抱くくらい忌避をしていたのと、男キャラ単体に興味を抱くことがほぼ無くてロボットアニメは必然的にご縁がありませんでした。

そんな私が一番最初に、自発的に全話見たロボットアニメが中学一年生の頃に見たコードギアス反逆のルルーシュであります。カレンのおっぱいに釣られました。はい。

 

前置きが長くなりました。

機動戦士ガンダム00は2007年10月に放送されたサンライズのアニメです。当時私は中学二年生でした。まだ駆け出しのオタクでしたが、監督の水島精二氏の名前は「シャーマンキング」や「鋼の錬金術師」で存じておりました。そう、腐女子受け描写が強い監督であることを。姉がハガレンでBL萌えしてるのを見て、痛いほど。

そしてキャラクターデザインは高河ゆん。これも詳しくはないですが、LOVELESSというBL…に近い?(BLでは無いよな?)漫画を描いててたいへん女性人気が高い方であること。

これらの情報を統合した私は「このガンダム腐女子向けであり、つまるところ、私向けではない」ということ。地方でも珍しく見れる時間にやってくれていた機動戦士ガンダム00。同年代のオタクは男子女子はだいたい見ていた機動戦士ガンダム00。私は見ずにこうして10年が過ぎ去りました。

 

後々、というかごく最近に鉄血のオルフェンズガンダムWを見て、鉄血はガンダムWの流れを汲んであり、ガンダム00も同じように流れを汲んでいるという先輩や知人の発言を受けたり、00が意外と周囲の知人男性に人気なこともあり「そうか、なら見てみるか」と思い立ち、Netflixに入ってるのを見てこれは好機と言わんばかりに見始めました。

そしてちょうど一昨日1期、2期、劇場版の全てを見終えました。

まず謝罪させてください。

 

ガンダム00さん。

10年前、腐女子向けガンダムとか言ってすみませんでした。

 

めちゃくちゃ面白かったです。

 

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