平成最後の一級品邦画ホラー……来ます!「来る」感想

どうもよるとりです。今月はマジ映画ラッシュですね。金がねぇ。
映画「来る」予告と監督でいやこれ絶対おもしろいでしょって思ってたのに見に行くの時間かかってしまいました。

 

中島哲也監督と言えばちょっと映画に詳しい人なら「告白」は見るか評判を小耳に挟んだことがあると思います。私もめちゃめちゃハマり次回作「渇き」も楽しく拝見しました。
とはいえなんだかんだで、映画館で中島監督の映画を見るのは初めてだったので上映しているうちに見れて本当に良かったです。

要約としては程よいエンタメホラー映画として水準が高い映画だったんじゃないかと思います。最近だと「残穢-住んではいけない部屋-」「貞子VS伽椰子」なんかが邦画ホラーでも評判でしたが、そこに並び立つ一本になったんじゃないかと思います。
ちなみに原作は読んで無いですが結構違うみたいなので手が空いたら読みたいですね。

 

ネタバレ丸出しなのでまだ見てない人は邦キチでも見て劇場行ってください。

 

comip.jp

邦キチ! 映子さん Season2/第7話

 

第一幕

 

「告白」「渇き」でもそうでしたが、中島監督は人間関係の嫌なところを描くのが上手いですよね。それでいて笑わせてくれるといいますか、実家に連れてきた彼女にチュー!から木村カエラのbutterflyを流してそのまま結婚式シーンに行く「安っぽさ」。いかにも中島監督らしいというか、好きですね本当こういうの……。
あまり詳しくないですが中島監督は結構劇伴に既存曲を使うのでその表現が今回も映えてましたね。

 

でも正直まさか妻夫木聡が死ぬとは思ってなかったので、あの身体がちぎれ飛んだ妻夫木聡見てちょっとハッとしてしまいました。
すげークソ既男なのは事実なんですが、最後に彼が「娘のために命を張る」選択をしたのも事実なので、そこまで嫌いではなかったです。まあ生き残って心入れ替えて……なんて簡単な話になるわけでも無いとは思いますが、人間そんなもんだからね……。

 

第二幕


黒木華の不幸はポルノ。
黒木華、取り立てて美人というわけではないのですがこの「どこでもいそうな顔」(褒めてますよ)から繰り出される抜群の演技力。くたびれた寡婦。いいですね……最高です……。
原作ではそこそこ違うみたいですが、黒木華を起用した上で盛り塩割ってニッコリ、化粧してないくたびれた母から女の子はいつも可愛くしなきゃね!と化粧もりもりベッドシーンは「女、こえ~」みたいな感じでこれもまた良い改変だったんじゃなかろうか。原作まだ読んで無いけど。

 

そんな彼女が「欲しいなら上げるよ」と漏れてしまうほど追い詰められる気持ちも物凄くわかるといいますか「旦那が死んで働きに出たはいいが子供はまだ小さく病気がちでよく呼ばれて、母親は頼れず自分は資格も無いからスーパーのレジ打ちもいいとこで旦那の実家も頼れない」なんて鬼女板とかで転がってるありふれた「怖い話」ですよ。

これまた旦那の秀樹のように、最後は娘を守るという気持ちで必死に抵抗していたのも事実なので、やっぱり嫌いにはなれないのであった。

 

第三幕


余談ですが特に情報を仕入れてなかったから、野崎が岡田准一って気づいたの映画見終わって感想探ししてからでした。友達に言ったら「は?何見てたんだおめえは」とか言われたけど。
黒木華妻夫木聡は素材そのままの味!な使い方でしたが、三幕で存在をます野崎と真琴、岡田准一小松菜奈はすごいメイクで役にキャラ立ちしてましたね。
小松菜奈は特に、中島監督が女優として大抜擢してから今売れっ子の経緯があるものの、正直言ってどれも同じような使い方が多く……なところでこのピンク短髪パンクな子供好きキャバ嬢。キャラが強いのにそれに負けない演技力と存在感、新たな小松菜奈の魅力を再発見できました。いい……。

そして比嘉琴子。これも抑揚のない喋り方とロン毛のヅラに傷の特殊メイク、全然松たか子に見えないですねこれ。それにしてもこの姉妹のキャラの強さよ。原作はシリーズ化してるみたいだから読みたいなぁ。


見る前からもうTLで評判だったお祓いカーニバル、なかなか凄いですね。その前座の、霊能力者たちが集まる描写がなかなかツボですね。ババアたちが死んだあとそれを察したジジイたちが「車両別れておけば最悪一人は生き残るでしょう」ってなんやねん、マンガかよ。
この辺に関しては語るよりも見てもらうほうが…な一連のシーンですが、流れるようにあの最後でぶつっと切れるのはいかにもこの監督だな!って思いました。

 


改めて総評ですが、いわゆるホラーで二分される「人間(現実)怖い」と「怪物(空想、フィクション)怖い」がいい感じに融合したホラーだと思いました。正直見慣れている人間からするとビクッとするところはせいぜい秀樹が怪異と対決するところくらいですが、割と得意じゃない人はなかなか怖い思いしたみたいで。
ホラーに限らず最近のエンタメは「ジャンル分けの弊害」が結構強くて、そのジャンルなら別にいいかな……と篩い分けてしまうところがあり、ホラーなんかは結局手法は限られているので慣れが恐怖を鈍らせるから、もう怖がる人を見て自分も怖いのを楽しむというのがメインになるところあるんですよね。自分はもうあんまり怖くないから……。

少なくとも私の観測範囲では割とホラー好き以外も客入ってる感じしたので、ホラー映画としてその層を呼び入れることが出来たなら大成功なんじゃないですかね。

 

中島監督は初ホラー作品ですが、やはり普段違う映画を撮っている人のホラー映画は面白いですね。もう三池崇史のホラー映画見飽きたじゃん(酷い)(でも見ますよ尊敬しています)
怖いっていう感情は普遍的ですが、人によって様々ですよね。夜中シャンプーするの怖い、財布にお金が入って無くて怖い、どれも怖いのはわかりますから。なのでこう、いろんな監督にホラー撮って欲しいなぁとか考えてました。また中島監督のホラーが見たい!という感じでは無いですが、次回作は楽しみにしています。また胸糞悪い人間模様が見てぇなぁ!

 

とりあえず下妻物語とか見ないとな。プライムにあるし。