この時代に可もなく不可もなくは褒め言葉です。「Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- Wandering; Agateram」感想

 

 

というわけで早速見てまいりました。
タイトルが非常に長く、舞台挨拶でキャストさんがたじろいでましたが本当に長いですね。

 

 

一言で今回のアニメを言い表したツイートなので連連補足していきたいと思います。ちなみに二回見ました。

 

・概ね一定水準以上だが……とにかく尺が足りない


映画として再構成するにあたり、遍歴の騎士ヴェディヴィエールを主人公として据えることで話の頭からケツまでに必要な情報を絞ってます。これは妥当な処置だと思います。
自分がもしFGOを全く知らない(この映画を見に来る時点である程度知識があるとは思いますが……)と仮定すると、放浪の騎士が道を違えてしまった同胞たちとかつての王と敵対する、という最低限の情報は得られるようにはなってますね。
むしろそれしかわからんな……。

 

とにかく90分の尺に収めるために百貌のハサンとか俵藤太とか、キャラもエピソードもかなり削ぎ落とすことになっていてその取捨選択に対して賛否が出てしまうのは致し方無い……といった感触です。
食事や他者との関わりの変化を描くのは絵的にもわかりやすくてよかったんじゃないかな。

 

自分のまわりでは円卓同士の会話が削られたこと、トリスタンの退場についての不満が多くて、ファンとして気持ちは大変良くわかるんですが確かに改変して後半詰まる箇所は凡そ無い、という判断のもとなんでしょう。
円卓たちの会話も削った上で後半に所謂6章zeroを映像化します、ということであれば、その辺の話も後半に詰めるということでしょう。

 

そもそも根本的に前半は負け戦ばかりで、どうすれば一本の映画として抑揚つけつつ序破急を成立させるか?ということがすごく難しいんですよね。これはまずノベルゲームの性質上、面白い展開は進行度折り返してからであることが非常に多いため、UBWのアニメもすごいところでぶった切って2クール目に続く!になってしまったので、これは別にスタッフのせいではないんですよねえ。
もとより末澤監督も原作に触れて「これをやるのは難しい」というのは理解して、その上で挑戦されているので、そのガッツはやっぱり讃えたいなと個人的に思います。

 


・作画はたまに怪しいところがあるけどアクションは◎、圧巻の回想シーンも

 

個人的にこの映画で一番の不満点が「ガウェインが作画の振れ幅によってゴールデンレトリーバー顔からブルドッグ土佐犬顔になる」という点なのですが、まずワダアルコの絵がアニメ化難しいのと更にタレ目の太眉甘いマスクイケメンがぐりんぐりん動くという時点でもうもっと大変なので「後半頑張ってくれよな!」という結論に至りました。

 

キャラデザは細居美恵子さん、温泉中也さん、黄瀬和哉さんと錚々たる顔ぶれで全体的に線が細い少女マンガや乙女向けのさらっとした感じの絵作りの印象(実際どうかは知らん)


個人的に細居美恵子さんは円卓の同人誌を出すくらい、個人的に気に入ってくださってる方なので参加されていることは嬉しいんですが……やっぱりあの細い線のイケメンでアクションをするのは大変なんでしょうね、多くは語りませんが……。
その分アクションはとても良いので……!!

作画について特筆すべきはやはり超人アニメーター吉成鋼さんの参加でしょう。


>とにかく画面に対して尋常ではない拘りを見せる。
>他人を信用しない気質なためか、特に近年ではたとえ他所の作品であろうとも、
>自分の受け持つカットは原画、動画、仕上げ、撮影などを1人で行ってしまうという恐ろしさを持つ。

w.atwiki.jp

私も作画クラスタって言えるほどの人間じゃないんで人に説明が難しいのですが、この辺有名なカットかなと思います。

 

 

この人のカットがあるってだけで「へえ見ようかな」と人に言わしめるほど凄い人なんです。
二回目の時改めてじっくり見ましたが、ガウェインとランスロットが打ち合っているところが特にイイですね。
次見る時もまたじっくり見て楽しみたいと思います。
もう、この人が呼べてる時点ですげえんだよ!というクラスの人なので、なんかもう奈須きのこに嫉妬の感情すら湧きます(?)

 

・音楽は文句なしの出来

 

 

 

言わずもがなですが芳賀さんは大本の原作Fate/stay nightから音楽を担当されFGOのメインコンポーザーで、深澤さんはTV版Fate/UBWの劇伴をされている方です。
特に深澤さんは「Fate/stay night Original Soundtrack&Drama CD
Garden of Avalon-glorious,after image」でも劇伴を担当されている方なんですよね。
このドラマCD、劇伴も大変よくて……まあ何が言いたいかといいますと、この6章のお話はこのドラマCDの延長線上にある、ということを理解して呼んで頂いている、というのが嬉しくてね……。
ここは本当に座組がしっかりハマっているので、どこか聞いたことのあるBGMが流れてしんみりした気持ちになりますね。この辺はちょっと回数重ねて見ていく上で聴き込んでいきたいと思います。


・後編は2021春

 

 

これに尽きるんですよ、本当。
制作費億かかってるアニメ映画の座組がソシャゲのストーリー更新と合わせてって怖くない?俺は怖い。
改めて本当に凄いコンテンツだなFGO……。これが許されるってもはや暴力ですよ!(?)

とにかく後編に全フリしているのがよくわかる前編ですが、
総評して及第点は超えてる、単位取得が60点なら75点くらいの映画だと思います。どうでもいいけど今の大学生はDだと単位出してもらえないらしいな。

 

 

 

色々書きましたがこんな情勢の中で無事公開にこぎつけてくれたこと自体が大変ありがたいことなので、この映画を作っていただいた関係者の皆様に感謝の念が尽きません。
FGOを始め、6章に触れ、これをアニメ化してほしい!とアンケートに書きまくり……劇場アニメ化の発表があり、それを念願叶って見ることが出来たということ、本当に感慨深いです。
後編を作っているスタッフの皆さん頑張ってください。超楽しみにしています。

おしまい!