零シリーズの最高傑作「濡鴉の巫女」を4年もプレイせずにいてごめんなさい。

 

・はじめに

 

最近ガンダム00のやつといい謝ってばかりでは…?どうも。よるとりです。みなさん、ホラーゲームはお好きですか。私は大好きです。


日本のホラーゲームといえばバイオハザードSIREN、零あたりでしょうか。そう、零。現コーエーテクモの出しているホラーアクションゲーム。約10年前に紅い蝶をプレイしてからファンで、その最新作「零~濡鴉の巫女~」をプレイし、ちょうどエンディングをすべて見終えました。

 

 

零 ~濡鴉ノ巫女~ - Wii U

零 ~濡鴉ノ巫女~ - Wii U

 

 


と言いつつこの濡鴉の巫女、4年前に出たゲームです。お前、なんで4年も放置してたんだよって言われるともう本当にそのとおり過ぎて頭が上がらないんですが、全てはWiiUとかいうSwitchとWiiのスキマハードで出たのがネックすぎてですね。記事中何度も言いますけど早くSwitchに移植してください。個人の感性によると思いますが、私はこれ、零シリーズの最高傑作だと思います。はい。
※あくまでストーリーを一通りクリアしたよ、段階なので色々取りこぼしがあったりコンプリートガイドを見てないのでトンチンカンなことを言っていたらごめんなさい。というかコンプリートガイド、高すぎや。

 

 

零~濡鴉ノ巫女~ コンプリートガイド

零~濡鴉ノ巫女~ コンプリートガイド

 

 

 

・シリーズの中でも深みを増したストーリー性


零シリーズのストーリー、基本的に

 

あの世を封じる人柱の風習がある郷土→なんらかの経緯により事件発生、儀式失敗→あの世が溢れかえって大災害→何年かあとに主人公が関わりゲームスタート


というお約束の流れがあるのですが、この人柱の風習の郷土性というのがいかんせんメインストーリーに合わせて作られた創作感が無いわけではなく…
と、いうのも人柱という要素以外はあまり現実の民俗学的な要素が少なかったように見受けられました。シロートの意見なので違うかもしれませんが。
(双子の片方を生贄に…というのとか、そもそもあんな狭い村でバカスカ双子が生まれる時点でツッコミどころといえばそうなんですけども)

結論からいうとスタッフロールのシナリオアドバイザーの項目に、大塚英志氏のお名前があったためプロの民俗学者を呼んだことによる恩恵なのかなとも思いました。
ムサカリ絵馬や遠野物語山岳信仰など、まあ自分もガチで詳しいレベルではないのですが実在の風習を元にして尚且つ零の世界観に落とし込みストーリーを展開しているので、個人的に今作の話は傑作だと思います。好みはあると思うけど。

 

月蝕の仮面」では、流歌、海咲、長四郎、約3人の主人公によって展開されますが同じ病院を徘徊しているのに次元が捻れているとかでゲーム中でこれらの3人が交わることは一切ないので、群像劇という感じが薄かったです。

しかし、今作「濡鴉の巫女」はきちん夕莉、深羽、蓮の3人の主人公が協力しあい交わりながらそれぞれの結末へと進んでいくので、これだよ~となりました。

 

・ストーリーと重厚にリンクするシステム

 

今作独自のシステムも、ストーリーをより深みへ誘う良いものが多かったです。

「影見」は人の寄香を辿るとのことだが、要するに「デッドスペース」のインジケーターである。ポチっと押すと次に行く場所を示してくれる。零シリーズはなかなか広大なフィールドを歩くことになり、中断した際にどこに行けばいいのかよく迷うのでこれはとても便利でした。

 「看取り」はED分岐にも関わる重要なシステムであり、更にいわゆるザコ敵幽霊たちの物語を垣間見えるのでちょっとしたやりがいがありました。

「濡れメーター/黄泉濡」は、私は全編イージーでやっていたので濡れメーターによる与ダメージ量増加の恩恵はよくわからなかったのだが、雨が降るフィールドに主人公を入れるとメーターの上昇と共に、徐々に主人公の服が濡れて透けていくのは「なぜこんなところに本気を出したんだ」と感動せざるを得ない部分です。拍手。

しかしながら、この濡れメーター、マックスの状態だと「3回に1回は必ずアイテム取得時のお邪魔幽霊が発生する」というデメリットがあり、特に4周しなければいけない最終章は基本的に雨が降っていて、どれだけアイテムを使ってメーターを空にしてもほぼ意味がない。どうやら「眞紅の蝶」かららしいが、幽霊の手に掴まれるとダメージを負うようになってしまったので特に注意して拾わないといけないのにこれはかなりのストレスだった。ダメージ量としては大したことがないのだが、テンポを損なうしせめてもう少し頻度を緩和して欲しかった。

 

・魅力的な主人公たちと、その結末

 

初代主人公の娘である深羽、シリーズおなじみの麻生博士の魂を持った蓮、こう並べると夕莉は過去作となんの関連性も無いのでキャラ弱くならないかな?大丈夫かな?という不安はありましたがプレイしてみると全く問題ありませんでした。何よりも、夕莉はこれまでの過去作主人公が成し得なかったことをしました。そういう点では物凄い子だと思います。

これまでの零は、決定的に生者と死者が分かたれていました。なにかのきっかけで怨霊のようなものになってしまったラスボスに対して、主人公という生者から死者へ救いを与えるのが型としてありました。霧絵、紗重、零華、朔夜。退治という形になった霊もいなくはありませんが、この世に留まっていた礼を正しくあるべき隠世へ送る、それが霊への救いでした。

夕莉の水中看取りエンドはどうでしょう。どうしようもなく生きていることに違和感があり、人の死を強く感じ取る彼女に対して「貴方を理解出来るのは、私だけ」と逢世は囁きます。

逢世を「看取り」そして去る彼女を見送るのが水上看取りエンドですが、彼女の誘いは救いである……として共に黄泉へ落ちる選択をするのが水中看取りエンド。つまるところ、零シリーズで初めて死者が生者へ救いを与えた衝撃的なエンディングです。

宮崎駿アニメで、ヒロインと主人公が必ず最後に別離を迎えていたのに「崖の上のポニョ」がそれを破り共になったのと同じように根底を覆す衝撃ストーリーです。そりゃあ他の主人公に埋もれない。すごい。

とはいえやはり水上看取りエンドもボロボロ泣きました。あれだけ無表情、無感情、虚無が歩いてるという位の夕莉がゲームの中で初めて涙を見せて逢世の悲しみと秘密を背負う……そして生きていく、という従来のシリーズの型に沿ったお話もよく出来ていました。

 

深羽の話についても、随分と死者と隠世に対して好意的な話でした。発売当時かなり波紋を呼びましたが、私はあのストーリーについて肯定しています。これまでの深紅の人生、明確にあの世が存在するあの世界観。唯一の兄を求めるのは自然なことだなあと自分は思いました。それが愛欲でなくとも。

ただ、やはり深羽には深紅しかいないし深紅には真冬しかいない……という結びがあるので深羽は結局孤独なままじゃん……と寂しい気持ちになるので、是非次回作では深羽には幸せになってほしいですね。

 

蓮の話は本人がどうというよりも麻生博士の話だったのでとんだ災難だなぁ…みたいな話ですが、君菊の匣の中エンドはボロッボロ泣きました。君菊ちゃんほんといい子…。

逢世さんのエンディングも、どちらもホロリと来ました。最終的な救いは夕莉が与えるものですが、やはり再会して直接言葉を伝えられたというのは大きいと思います。どちらを選んでもケチがつかないように出来てるのはいいですね。

 

・あやね編について

なんであやねが…って感じはしましたけどやってみたらステルス意外と楽しかった。あとやっぱり月蝕の霊石灯強すぎたんだな……って笑った。

プレイ済みの人と話した限りなんでこの人が…?ってなったんでしょうが、あやねとかすみの関係を触り程度に知ってると彼女が紡を気にかけた理由に繋がるので、無理のある話ではなかったし良いサブシナリオでした。

でも零の華奢な女の子たちに交じるとすごいムチムチだったね。

 

 

 

本当に面白かったからそのうちSwitch移植して欲しいぞ…。

じゃないとこんな素晴らしい名作が埋もれてしまう。頼むぞコーエーテクモ